
「Can I borrow your pen?」「I’ll lend you my pen.」「We rent a car.」どれも自然な英語ですが、使われている動詞はすべて違います。この3つの動詞「lend」「borrow」「rent」は、いずれも“物を貸す・借りる”という共通テーマを持ちながらも、話し手の立場や目的によって使い分けられます。
今回はスピーキング特化型のオンライン留学サービスを提供する「Speaking Success System(SSS)」より、「lend」「borrow」「rent」の違いと使い分けについて解説していきますので、ぜひご覧ください。
lend・borrow・rentの意味とは?
まず、3つの単語の基本的な意味を見ていきましょう。
lend:「(自分のものを)誰かに貸す」
例:I’ll lend you my umbrella.(私の傘をあなたに貸します。)
borrow:「(誰かのものを)借りる」
例:Can I borrow your umbrella?(あなたの傘を借りてもいいですか?)
rent:「(お金を払って)貸す/借りる」
例:We rent an apartment.(私たちはアパートを借りています。)
例:They rent cars to tourists.(彼らは観光客に車を貸しています。)
lend・borrow・rentの違いとは?
lend・borrow・rentの違いを理解するためにさらに、詳しく見ていきましょう。
lend は「(自分のものを)人に貸す側の動作」、borrow は「(人のものを)借りる側の動作」、rent は「お金を払って一定期間借りる(または貸す)」ことを意味するという明確な違いがあります。
また、lend と borrow は基本的に無償のやりとりを想定しており、rent は「商取引」や「期間契約」に関わる言葉なのです。
たとえば、友人に「Can you lend me your notebook?(ノートを貸してくれる?)」と言うときは lend を使いますが、「Can I borrow your notebook?(ノートを借りてもいい?)」と言うと borrow になります。
どちらも同じ出来事を指しますが、話し手が「貸す側」か「借りる側」かで単語が変わります。一方、ホテルの部屋やアパート、車など、お金を払って利用するものには rent を使います。「We rented a car for two days.(2日間車を借りました)」のように、使用料が発生する場合に使うのが特徴です。
lend の使い方(貸す)
lend は「(自分の持ち物を)誰かに貸す」という意味で使われます。
構文は lend + 物 + to + 人 で、「誰に何を貸す」という形になります。
<例文>
I lent my umbrella to Tom.(私はトムに傘を貸した。)
この場合、話し手が貸し手であり、Tom が借り手です。
lend が持つさまざまな意味について
lend は「日常的には無償の貸し出しに使われますが、ビジネスでは『融資する』という意味にも発展します。」金融の場面では「lend money(お金を貸す)」という形で用いられ、「銀行が顧客にお金を貸す」というような使い方も一般的です。
また、lend は文脈によって「(能力・特徴などを)与える」という比喩的な意味もあります。たとえば「lend credibility(信頼性を与える)」「lend support(支援する)」といった形です。このように lend は、単なる物の貸し借りにとどまらず、「提供」や「付与」を表す表現としても使われています。
ちなみに、過去形・過去分詞はどちらも lent です(lend–lent–lent)。
borrow の使い方(借りる)
borrow は「人から何かを借りる」という意味で、lend の反対の立場を表します。
構文は borrow + 物 + from + 人。
<例文>
Can I borrow your pen?(あなたのペンを借りてもいいですか?)
この文では、話し手が「借りる側」です。lend の場合と同じ出来事でも、視点が変わるだけで使う単語が真逆になります。
borrowの意味をさらに深堀り
borrowは返却を前提に借りる場合に使われ、日常会話でよく聞く「Can I borrow your phone?(携帯を借りてもいい?)」など、数分後に返すことが当然の前提です。
一方で、返す意思がない場合にはもちろん「borrow」は使えません。そのような場合は「take(持っていく)」など、状況に応じた別の動詞を使います。borrow には常に「返す前提」と「お願い」のニュアンスが含まれています。
また、「borrowed time」=「余命を延ばしている」や「borrowed idea」=「時間を稼いでいる」などのように、比喩的な使い方もあります。そのほかborrow は lend と違って「from」を取る点が特徴です(I borrowed it from her.)。この前置詞の使い分けを混同すると、英語の自然さが大きく損なわれるため注意が必要です。
「lend me 〇〇」と「borrow your ○○」どっちを使うべき?<
英語学習者が最も混乱しやすいのが、lend と borrow のどちらを使えばいいのかという点です。
例えば「本を貸してもらえますか?」という場面では、Can you lend me your book? と言うこともできれば、Can I borrow your book? と言うこともできますね。
どちらも正しいのですが、前者は「あなたが私に貸してくれませんか?」という“貸す側”への依頼、後者は「私があなたの本を借りてもいいですか?」という“借りる側”からのお願いです。
感覚的には、borrow の方がやや丁寧で控えめに聞こえるため、初対面の相手やフォーマルな場では borrow を使うことが多いです。一方で、親しい友人間では lend の方が自然に感じられることもあります。
rent の使い方(お金を払って一定期間借りる、または貸す)
rent は、お金を払って一定期間借りる、または貸すことを表します。
たとえば「We rented a car for the weekend.(週末に車を借りました)」のように、レンタカーやアパート、ホテルの部屋など、期間が明確で金銭が発生する取引に使います。
そして、貸す側にも借りる側にも使える動詞で、「rent + 物」で“借りる”、「rent out + 物」で“貸す”の意味になります。
<例文>
She rents out her apartment.(彼女はアパートを賃貸に出している。)
また、「rent a video(ビデオを借りる)」や「rent clothes(服をレンタルする)」のように、ビジネス分野でも広く使われています。
rentには契約期間がある
lend/borrow は友人間の一時的な貸し借りや、ちょっとした日常的行為(傘、ペン、ノートなど)に使われ、必ずしもお金が伴わないということでしたね。そして、期間も曖昧なことが多く、「返す時期」が厳密に決まっていない場合もあります。
一方で rent は、金銭のやりとりが前提のうえ、家や車、オフィス、機械設備など、比較的大きな物品や空間を一定期間利用する場合に使われます。
契約期間や金額が明確である点が、lend/borrow との最大の違いです。
英米差と関連語の注意点
英語圏でも地域によって使われる語が異なります。
イギリス英語では rent の代わりに hire が使われることが多く、「hire a car(車を借りる)」「hire a suit(スーツを借りる)」のような言い方が一般的です。アメリカでは同じ意味で rent が使われます。
また、イギリスでは「let」が「賃貸する(貸す)」の意味を持ちます。例えば「They let the flat.(彼らはアパートを貸している)」のように、家主側の立場を表す場合に用いられます。
日本語の「レンタルショップ」「レンタカー」などの「レンタル」は、英語の rent から来ていますが、実際の英語では「rental」は名詞で「賃貸・貸し出し」の意味です(car rental, DVD rentalなど)。
「lend」「borrow」「rent」の違いと使い分けについて
いかがでしたか?今回の内容としては、
・lend は「人に物を貸す(lend + 物 + to + 人)」を表す。過去形・過去分詞は lent
・borrow は「人から物を借りる(borrow + 物 + from + 人)」を表す。返す前提が含まれる
・rent は「代金を支払って一定期間使用する(借りる/貸す)」を指し、rent out(貸す)や rental(賃貸)など派生語がある
・英国では hire(借りる)や let(貸す)が使われ、地域差がある
以上の点が重要なポイントでした。これらの違いを明確に理解しておくことで、英語での「貸す・借りる」の表現がより自然で正確になります。文章や会話の場面に応じて正しく使い分けられるようになることが、上級者への第一歩です。









