最近よく耳にする”ホームスクール"とは?

日本ではお盆を過ぎると「そろそろ、夏休みの宿題おわらせなきゃなぁ」と焦っていた学生時代を思い出しますが、皆様はいかがお過ごしでしょうか?私が住むフロリダ州では、5月末からの夏休みが終わり、今週から多くの学校が新年度を迎え、SNSでは”First Day of School!"と題した写真が多く投稿されています。これを見ると「新しい学年が始まるんだなぁ」と感じます。よく見かけるのが数年分の”First Day of School"の写真を並べて投稿されていて、友人のお子さんの成長を陰ながら感慨深く見ている今日この頃です。

さて、日本で新学期といえば、ランドセルや制服のコマーシャルなどが多く放映されていますが、私が住んでいるフロリダでは、ホームスクールの教材のコマーシャルをよく見かけます。私には馴染みがなかったホームスクールという制度。昔日本語を教えていた中学生の女の子もホームスクールをしていました。

このところアメリカではとてもポピュラーなホームスクールについて、ご紹介したいと思います。

ホームスクールとは?

文字通り「自宅で学習する」正規の学校教育に代わる教育形式の一つです。日本では色々な制約も多く、地域の教育委員会等に申し出て、実際に校区の校長先生と保護者が面談をした上で「子供本人が学校に通学しないことを望んでいるか?」等を話し合って、ようやくホームスクールを開始できるようです。

アメリカでは、州によって法的な規則が異なりますが、ここフロリアではとても緩やかな規制で、保護者が自宅で子供たちに教育を提供することが認められています。

何故ホームスクールを選ぶのか?

日本でホームスクールというと、どこか暗いイメージがあって、「学校にいかない=不登校=ドロップアウト」と捉えられることが多いですが、本当はそうではないことを知ってほしいです。日本の法律に「子供に義務教育を受けさせる義務」というものがありますが、「子供本人の意思を尊重した結果」ホームスクールできちんと「学校に行かずに勉強を進めている」のであれば違法性を問われることはありません。しかしながら、実際にホームスクールという選択肢をとっている家庭は、世界的に見ても日本はすごく少ないのが現状です。

アメリカはというと、本当に「子供にとって最善の学習形態はなんなのか?」を考えて、ホームスクールをしている家庭が本当に多いです。特にアメリカは銃社会でもあり、毎日のように銃による事件が報道されます。昨日も私の住むジャクソンビルで、「9才の男の子が誤って中で6才の男の子を殺してしまった」という痛ましい事件が起こりました。また、毎年のように学校での銃乱射事件が起こるので、子供の安全を確保するためにはホームスクールしかないと考える親もたくさんいます。

National Center for Education Statistics(IES/NCES)の調べによると、ホームスクールをしている親たちの25%が「安全な教育環境」を一番の理由に挙げているというのも頷けますね。

<ホームスクールを選んだ理由>

  • 安全な教育環境 25%
  • 教育の質(劣悪な教育環境を避けるため)14.5%
  • 宗教的な要素も盛り込みたい 13%
  • 特別な介助・介護・配慮が必要 7.3%
  • その他 14%

ここで興味深いのは、日本ではどちらかというと「不登校」が理由でホームスクールをする家庭が多いのですが、アメリカではそのような理由(”Special needs"特別な介助・介護・配慮が必要)は7%に過ぎません。それよりも「劣悪な教育環境を避けるため、教育の質」のためにホームスクールをしている家庭が多いのが特徴です。

アメリカでは、同じ公立の学校であっても校区によってレベルに雲泥の差があります。どうしても住む地域によって貧富の差があり、その差が学校のレベルにも関係してきてしまいます。そうすると、貧しい人が多く住むエリアの学校のレベルは本当に低く、環境も決してよくありません。私がしばらく働いていた中学校も、あまり良い地域ではなかったので日本との違いに愕然としました。そういう学校で働きたいという先生も少なく、いい先生はいい学校区に移っていくという悪循環がおき、レベルの低い学校区の授業の質は、どんどん悪くなっていくという現状にあります。そのような環境下に自分の子供を置きたくないという気持ちは、よくわかりますね。

「学校に合わないから」ではなく「より良い教育環境をもとめて」ホームスクールをしている人たちが多いのも頷けますね。

増え続けるホームスクーラー

Homeschooling Statistics For 2023という記事によると、2022年には430万人の子供がホームスクールをしており、2020年には376万人だったことから考えても、2年間で50万人(14%増)という結果になっています。私が住むフロリダ州は2021-2022年のデータによると、全米3位の4.78%15万2千人の子供たちがホームスクールをしています。日本では現在2,000人〜3,000人の子供がホームスクールをしていると言われているので、その差は歴然です。

コロナ禍以降、オンラインスクールで学ぶことに抵抗がなくなったことも大きな要因かもしれませんね。

日本とアメリカの違い

日本のホームスクールは、法的に禁止するとも許可するとも載っていないようです。今は少しずつ広がってきているようですが、自治体のサポートや第三者機関(支援団体)のサポートのようなものはアメリカに比べるとかなり遅れているようです。日本でも色々な方がホームスクールを検討して実施されているようですが、その自治体や学校によって対応がさまざまなようで皆さん苦労されているようですね。

一方、アメリカでは州によって異なりますが、ホームスクーリングは法的にも認められており、親や家庭教師という選択肢だけでなく、学校や公的機関、支援団体も積極的に関わってくれていて、ホームスクールを行うための環境が整っています。また、ホームスクールが一般に知れ渡っているため、ホームスクールをしている家族同士の交流などもあり、子供同士のコミュニケーションを取る機会なども十分にあります。フロリダ州では、K-12(5-17才)までが受けられる公立(無料)のオンラインスクールがあったりもしますし、私立の学校や公立の学校がオンラインスクールと登校型のハイブリッドで通うスタイルを提供している学校もあります。

色々な選択肢があり、それらがとても充実しているので、ホームスクールをやりたい!と思った時に、日本ほどハードルは高くないのではないでしょうか?

本日は、アメリカのホームスクールについてお話ししてみましたが、いかがでしたでしょうか。

私自身は普通に高校まで公立の学校に通学していましたし、私の年代でホームスクールということを聞いたこともありませんでした。学生時代を振り返って、同世代のクラスメートと楽しく学び、時にはぶつかり合って喧嘩しながらお互いを認め合っていくような経験は、あの時代のあの時にしか経験できない貴重なものだったと思います。

しかし今アメリカという地で生活してみて、何よりも安全にかつ自由な発想で色々なことを学べる機会があるホームスクールという選択肢が増えていく理由が、なんとなくわかってきたような気がします。

<参考文献>

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